「法律じゃないけど当たり前」 渋滞末尾のハザード、プロの“無言の掟”が日本の道路を守ったのか?

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高速道路の死亡事故の約1割を占める追突。渋滞末尾でのハザード点灯は法律義務ではないが、2018年東名・新東名での多重事故を契機に広がり、物流や社会損失を防ぐ現場発の安全文化として定着している。

トラックドライバーの現場知から一般層への波及

渋滞発見時のハザードランプ点灯は、以前から存在していた?(画像:写真AC)
渋滞発見時のハザードランプ点灯は、以前から存在していた?(画像:写真AC)

 渋滞最後尾でのハザードランプ点灯は、もともとトラックドライバーなどの職業ドライバーが、高速道路上で互いの安全を確保するために用いていた意思疎通の手法が始まりだといわれている。プロの現場で長年培われてきたリスク回避の知恵が、一般のドライバーにも広く共有され、現在の日本の道路環境に適した独自のルールとして定着した。

 トラックドライバーなどの専門職の間で注意喚起のサインとして使われていたこの手法は、安全運転に対する高い意識とともに一般層へと波及し、現在では高速道路などで広く見られる共通の行動様式となった。プロが実践する高度な安全管理のノウハウが利用者全体に広まったことで、日本の道路網における安全水準が官民を問わず底上げされたといえる。

 近年では、JAF(日本自動車連盟)や高速道路各社も公式に推奨しており、電光掲示板に「渋滞末尾ではハザードランプの点灯を」といったメッセージを掲示するなど、積極的な情報発信が行われている。こうした取り組みにより、ハザードランプの活用は日本の交通安全文化の基盤として確立された。法律で定められた義務ではないが、この行動はドライバーひとりひとりの自発的な意識によって支えられている。

 プロの現場から生まれた実戦的な手法が、利用者同士の信頼に基づいた社会的な資産となり、円滑な交通環境の維持に寄与している。

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