“西武王国”崩壊から20年――「鉄道は所沢、経営は都心へ」 沿線の常識を捨て、あえて拠点を切り分けた33年目の決断

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西武グループは1986年に所沢に本社を移転後も、本店所在地は池袋の旧本社ビルのままだった。2019年、持株会社や不動産・ホテルの主要3社が「ダイヤゲート池袋」に移転し、約400人のスタッフが池袋へ戻った。沿線と全国の現業部門を踏まえた本社最適化で、池袋・所沢の2拠点体制が定着した。

本社移転の地方影響

所沢駅前の西武鉄道本社(画像:写真AC)
所沢駅前の西武鉄道本社(画像:写真AC)

 そもそも、本社を移転するとは何を意味するのか。会社法では、会社を設立・登記する際に本店所在地を定めることになっている。本店所在地とは、法人税などの国税を納める場所を指す。

 一方、本社は会社法上の名称ではない。一般的には実質的な本社機能がある場所を指す。こちらは法人住民税や固定資産税などの地方税を納める場所となる。

 国税は管轄の税務署に納められ、国庫に入る。これに対して地方税は本社所在地の自治体に納められるため、自治体にとっては本店所在地よりも本社所在地の方が重要である。

 西武グループは1986年に所沢へ移転した後も、本店所在地は豊島区南池袋の旧本社ビルのままであった。2019年のグループ3社の本社移転は、旧本社ビルを建て替えた新ビル「ダイヤゲート池袋」に入居する形で、本店所在地に本社を戻したことになる。

 本社が完全に撤退すれば、自治体は税収だけでなく、人の往来を含めた経済活動にも影響を受ける可能性がある。自治体が懸念するのは当然である。所沢から池袋に移転する本社スタッフは、西武HDを中心に約400人とされる。

 西武グループは所沢駅前に本社機能を持つふたつのビルを構えていたが、移転後は1つに集約した。空いたビルは賃貸オフィスに転用している。

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