「EV = お得」は終焉か? 28年重量税導入&再浮上の走行距離税――環境優遇から受益者負担への冷徹転換

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2028年からEV・PHVに重量税導入が決まり、ガソリン税減収にともなう財源確保と脱炭素の両立が課題となる。総コスト優位性が揺らぐなか、走行距離課税も視野に入り、EV普及策と負担公平性の調整が問われている。

走行距離税の賛否

走行距離のイメージ(画像:写真AC)
走行距離のイメージ(画像:写真AC)

 走行距離税の導入については、現在も国民の間で根強い懸念が示されている。意識調査の結果では、賛成が35%にとどまる一方で反対は55%に達しており、大多数が慎重な姿勢を崩していない。

 こうした反対意見の背景には、従来の保有にかかる税とは異なり、移動の量に応じて負担が増える仕組みが「移動の自由」に対する制約や心理的な圧迫感として捉えられている実情がある。国会での審議には通常1年以上を要し、税制調査会での検討から法案提出、閣議決定、そして準備期間を経て施行されるプロセスを考慮すると、最短でも2026年以降の導入が現実的なスケジュールとなる。

 2026年の国会では、走行距離税に関する議論が本格的に再開される見通しだ。しかし、すでに2028年からの導入が決まった重量税に加え、さらに走行距離に応じた課税までもが重なれば、

「政府が推進するEV普及策の大きな障壁」

となる可能性が高い。購入を促す補助金制度を維持しながら、一方で維持段階での負担を増やすという政策の不整合をどう解消するかが、今後の制度における最大の課題となる。

 先行する英国の事例は、増税と振興策を同時に進めざるを得ない政府の苦渋の決断を浮き彫りにしている。日本に問われているのは、普及の初期段階にあるEVをいつまで特例的な保護対象として扱うべきかという、支援の区切りである。重量税の導入という一歩を踏み出した今、走行距離税の是非を問う議論はもはや不可避といえる。

 自動車を所有する形態からサービスとして利用する形態への移行も見据え、次世代の道路インフラを維持するための新たな負担のあり方について、国民の理解を得られる合意形成が求められているのだ。

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