「EV = お得」は終焉か? 28年重量税導入&再浮上の走行距離税――環境優遇から受益者負担への冷徹転換

キーワード :
, ,
2028年からEV・PHVに重量税導入が決まり、ガソリン税減収にともなう財源確保と脱炭素の両立が課題となる。総コスト優位性が揺らぐなか、走行距離課税も視野に入り、EV普及策と負担公平性の調整が問われている。

自動車税制の改正

衆院本会議で所信表明演説をする高市早苗首相=10月24日午後、国会内(画像:時事)
衆院本会議で所信表明演説をする高市早苗首相=10月24日午後、国会内(画像:時事)

 高市新政権の発足を受けて2025年10月21日に招集された第219臨時国会は、12月17日に閉会を迎えた。2025年度補正予算の成立とともに、2026年度税制改正の審議も決着し、自動車税制や補助金制度の抜本的な見直しが確定している。

 今回の改正では、長年の懸案であったガソリン暫定税率と環境性能割の廃止が盛り込まれたほか、エコカー減税やグリーン化特例の延長、エコカー補助金の再編が決定した。こうしたガソリン車を含めた減税措置は、車両維持費の抑制に寄与する一方で、初期費用の高い電気自動車(EV)がこれまで維持してきた

「経済的な優位性」

を相対的に弱める側面も持っている。

 さらに政府・与党は、2028年5月からEVやプラグインハイブリッド車(PHV)を対象に、車両重量に応じた新たな重量税を課す方針を打ち出した。大容量バッテリーの搭載により車体が重くなる電動車は、道路インフラへの物理的な負荷が従来の車両よりも大きいとされる。この課税方針への転換は、EVを環境貢献への報奨として免税対象とする段階から、社会基盤を支える共通の受益者として適正な費用負担を求める段階へ、普及のフェーズが移行したことを示している。

 一方で、以前から議論されてきた走行距離に応じて課税する「走行距離税」の導入は、今回の臨時国会では見送られた。EV普及にともなって減少が続くガソリン税収を補う代替財源として検討されたものの、利用者の負担増に対する反発が根強く、慎重な判断が下された形だ。

 片山さつき財務相は2025年11月12日の参院予算委員会で、国民民主党の榛葉賀津也幹事長に対し、国民から上がる厳しい声を反映し、政府として具体的な検討段階にはないことを明言した。しかし、走行距離税は先送りされたにすぎず、導入の可能性が完全に消えたわけではない。

 2028年から重量税が課されることで、電動車も道路維持のための負担を負う存在として明確に位置付けられた。今後は税の公平性と普及促進の整合性をどう図るかが、次なる国会の焦点となるだろう。

全てのコメントを見る