「トランク預け入れ禁止」 もはやモバイルバッテリーは“動く火種”か? 相次ぐ出火事故で変わる航空・高速バスの常識

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2025年、モバイルバッテリーによる出火事故が国内外で相次ぎ、航空機や鉄道、高速バス各社が安全規制を強化した。リチウムイオン電池の特性と大規模リコール、所在不明メーカーリストも明らかとなり、公共交通の安全管理が転換点を迎えた。

国交省と民間のギャップ

国土交通省におけるリチウムイオン電池対策の取組状況(画像:国土交通省)
国土交通省におけるリチウムイオン電池対策の取組状況(画像:国土交通省)

 高速バス各社の対応は、国交省のそれよりも先行していた。国交省九州運輸局が「バスを利用されるみなさまへ モバイルバッテリーはトランクルームに入れず必ず車内に持ち込んでください!」と題した声明を公表したのは、11月17日のことである。しかし、その発表を待たず、独自に新規約を導入した高速バス事業者が相次いだ。

 安全施策に対するスピード感と、各社が共有する危機意識は評価に値する。むしろこの点では、国交省が民間企業に引きずられる形になっているといえる。

 もちろん、国交省が何もしていないわけではない。国交省制作、配信は環境省による「国土交通省におけるリチウムイオン電池対策の取組状況」によれば、鉄道局と航空局の双方で具体的な対応が進められている。

 鉄道局では、7月以降、車内でのモバイルバッテリー発火事案が相次いで発生した。旅客被災や輸送障害につながるケースもあったことから、JR6社や日本民営鉄道協会、日本地下鉄協会と調整し、運輸局経由で全国の鉄軌道事業者に周知した。そのうえで、2025年9月から駅構内や車両内での注意喚起放送とポスター掲示を実施している。

 航空局では、国内外で航空機内におけるモバイルバッテリーの発煙・発火事例が相次いだことを受け、航空関係団体と連携し、安全対策を強化した。前述のとおり、7月8日からは、本邦定期航空運送事業者に対して、モバイルバッテリーを座席上の収納棚に入れないこと、機内での充電は常に状態を確認できる場所で行うことの2点を旅客に協力要請している。外国航空会社に搭乗する場合は、それぞれの航空会社の指示に従うよう周知されている。

 このように、国交省は多角的な対策を講じている。これを踏まえると、今後、モバイルバッテリーの車内持ち込みに関する包括的なルールが設けられる可能性は十分にある。

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