「トランク預け入れ禁止」 もはやモバイルバッテリーは“動く火種”か? 相次ぐ出火事故で変わる航空・高速バスの常識

キーワード :
, ,
2025年、モバイルバッテリーによる出火事故が国内外で相次ぎ、航空機や鉄道、高速バス各社が安全規制を強化した。リチウムイオン電池の特性と大規模リコール、所在不明メーカーリストも明らかとなり、公共交通の安全管理が転換点を迎えた。

香港行き便の火災連鎖

バスに乗ろうとする利用者イメージ(画像:写真AC)
バスに乗ろうとする利用者イメージ(画像:写真AC)

 2025年1月28日、韓国・金海国際空港発、香港国際空港行きのエアプサン391便が、離陸準備中に機内火災を起こした。それからわずか2か月後の3月20日、中国・杭州蕭山国際空港発、香港国際空港行きの香港航空115便でも火災が発生した。後者の事故では、収納棚内に乗員と乗客が水をかけて消火する様子が動画で拡散された。両事故はいずれも、モバイルバッテリーが原因とされている。

 こうした事態を受け、中国政府は迅速に対応した。6月には国内線で、3C認証マークのないモバイルバッテリーの持ち込みを禁止した。3C認証マークは、中国における「強制製品認証制度」の略称で、安全性や品質が一定の基準を満たした製品に付与される。リチウムイオン電池を使ったモバイルバッテリーは、認証を受けていない場合、内部短絡や過充電で発熱・発火するリスクが高まるとされる。最悪の場合、航空事故を引き起こす可能性もある。

 日本でも同様の対応が取られた。国土交通省は7月1日、旅客機内でのモバイルバッテリー持ち込みに関する声明を発表した。スマートフォンやタブレット、ゲーム端末などの普及にともない、モバイルバッテリーの持ち運びは増えている。しかしリチウムイオン電池は、外部からの衝撃や過充電により発熱や発火のリスクを抱えている。

 国土交通省は、機内での発煙・発火への対応を強化し、客室の安全性向上を目指すとして、定期航空協会と連携した統一的な取り組みを7月8日から開始した。その内容は二点である。

・モバイルバッテリーを座席上の収納棚に入れない
・機内でのモバイルバッテリー充電は、常に状態を確認できる場所で行う

こととされた。しかし国交省の指針が出された同月、懸念されていた出火事故は発生した。舞台は旅客機ではなく、山手線内回りの列車内での事故である。

全てのコメントを見る