日本はなぜ「左側通行」なのか? “左”は世界でわずか3割――走行方向に刻まれた国家制度とインフラ選択の痕跡とは

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世界の道路の約7割が右側通行で、国によって走行方向は異なる。歴史や文化、武器や鉄道、産業の慣習が背景にあり、スウェーデンやサモアの事例は大規模変更も可能であることを示す。

左側通行の歴史的背景

自動車(画像:写真AC)
自動車(画像:写真AC)

 海外に出ると、逆方向から車が走ってくる光景に驚くことがある。日本では車は左側通行と定められているが、世界全体で見ると左側通行の国は約3割に過ぎず、多くの国では右側通行が一般的である。では、なぜ国によって車の走行方向が異なるのか。

 自動車が普及する以前の日本では、人力車や牛馬がすれ違う際に左側を通る習慣があった。また、武士が刀を左腰に差していたため、すれ違う際に鞘がぶつからないよう左側通行が自然に定着したとも言われている。

 さらに、日本は英国から鉄道技術を導入した際に、英国と同じ左側通行を採用したという説がある。1872(明治5)年に開通した新橋・横浜間の日本初の機関車も、英国式の左側通行で運行された。

 大英帝国の拡大にともない、道路や鉄道のインフラ整備も植民地に持ち込まれ、左側通行が標準として採用された。インドやオーストラリア、ニュージーランド、南アフリカ、東南アジアの一部では、英国の制度にならい左側通行が定着した。独立後も、社会に根付いた慣習としてその方式が維持されている。

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