トヨタ再任で「日本自動車界」は変わるのか? 自工会「佐藤新体制」、EV減速を追い風にするマルチパスウェイ「逆転シナリオ」
日本自動車工業会の会長交代が2026年1月に迫る。トヨタ佐藤恒治社長の就任は、国内需要縮小と国際競争激化の中で、政策主導力と産業全体の収益基盤再構築を狙う明確なシグナルとなる。
2018~2023年体制vs2026年体制

豊田会長がけん引した3期の間、自動車業界ではハイブリッドや水素を含む多様な技術の選択肢、いわゆる「マルチパスウェイ」の重要性が議論の中心だった。特に2020年9月に発足した菅義偉内閣がグリーン成長戦略を掲げたことで、電気自動車(EV)への移行という世界的な潮流に対する日本の立ち位置が厳しく問われるようになった。
対して2026年からの新体制では、議論の重心が技術の妥当性から、産業としての存立条件へと移っている。米政権による関税政策や複雑化する通商問題、国内の税制改革、さらにはサプライチェーン全体の強靭化といった課題が目前に迫っている。
これまでのパワートレインを巡る技術論争は一定の区切りを迎え、今後は市場でいかに収益を上げ、持続可能な産業構造を維持するかという制度論が主座を占める。
新しい体制では、技術的な正しさを追求する段階を越え、日本の自動車産業が国際社会において有利な経済圏を確立するための、高度な政治力と戦略性が不可欠になる。