車の「オンライン販売」なぜ増えた? メーカー側のメリットと、実店舗との棲み分け問題を考える
自動車の「オンライン販売」に各メーカーが乗り出している。高額なクルマをネットで購入する手法を、あえて売り手側が促進する狙いとは――。
オンラインと販売店の共存は不可欠か
新型コロナ禍や半導体供給不足、世界情勢不安などによって、車の新車販売台数は年々減少している。そのため自動車メーカーは、新車販売によって収益を確保するよりも、点検・修理・車検などのアフターサービスで収益を確保するというビジネスモデルに軸足を移しつつある。
そう考えると、車のオンライン販売はもとよりカーシェアリングやサブスクリプションなど、車を売ること以外に各メーカーが注力していることもうなずける。
特に2021年頃からは、車のオンライン販売に参入するメーカーが増えてきている。
例えばホンダは、新たに「ホンダセールスオペレーションジャパン」を立ち上げ、オンラインストア「Honda ON」の運営を開始。車の購入検討から契約までを完結できるようにした。
ただし、運営開始当初の計画とは異なり、サブスクリプション型のオンラインストアとなっている。購入から納車まで全てオンラインで完結できてしまうと、対面販売が中心の既存の販売店の存在意義が薄れてしまうからだ。
都内の販売店担当者は、
「オンラインストアで購入から納車までが全て完結できれば便利な半面、販売店を構える必要がなくなってしまう。しかし、顧客が便利で手軽に車が買えるようになることは良いことだし、販売方法の選択肢を増やすことはメーカーとして取り組むべきだ」
「顧客の反応を見て、今後売り切り型のオンラインストアになる可能性も充分にあると思う」
と話す。