もはや打つ手なし? 地方の「ガソリンスタンド」を襲う原油高 ライフライン崩壊の可能性も

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ガソリンスタンドの経営が苦戦を強いられる背景には、複合的な要因が重なっている。カフェやコンビニを併設して多角化経営へとシフトするケースもあるが、今後どう生き残るのか。

原油高とトリガー条項

地方のガソリンスタンドのイメージ(画像:写真AC)
地方のガソリンスタンドのイメージ(画像:写真AC)

 2022年初頭から、日本はじわりじわりと原油高に苦しんできた。政府は原油高に対して「コロナ禍から少しずつ世界経済が回復し、それが原油の需要増を招いた。そして、需要が増加したにも関わらず、産油国の生産は停滞していることが原油高につながっている」との見解を発表している。そうした事情に加え、ロシアのウクライナ侵攻や円安により深刻な原油高が続いている。

 原油高は、当然ながら市場のガソリン価格にも影響を及ぼす。ガソリン価格が高騰すれば、トラックをはじめとする物流が滞ることにもつながりかねない。

 東京・大阪といった鉄道ネットワークが発達した大都市部ならともかく、地方都市でマイカーは買い物・通勤といった日常生活に欠かせない。ガソリン価格が高騰により、外出を控えたり、こまめに買い物をしなくなったりという形で自動車使用を控えるだろう。なによりも、原油高が与える物流への影響は、食料品価格などにも転嫁される。

 これらは特に国民生活・経済活動に与えるマイナスが大きく、それゆえに政府は「トリガー条項」の凍結解除を見送る構えを見せていた。

 トリガー条項とは、ガソリン税の上乗せ部分の課税を停止することで原油価格の高騰を抑制するための政治的な措置をいう。ガソリンには、

・揮発油税(国税)
・地方揮発油税(地方税)

が課せられている。

 両者をまとめてガソリン税と総称するのが一般的で、さらに、ガソリン価格には消費税も課される。ガソリンを給油すると、その支払いの大半が税金と言われるのは、こうした税制の仕組みによる。

 トリガー条項をめぐっては、国民民主党の玉木雄一郎代表が熱心に岸田文雄首相へと働きかけているが、今のところ目立った動きはない。むしろ、永田町では今夏の参院選の駆け引き材料になっているとさえ見る関係者が多い。

 現在、岸田内閣はトリガー条項による措置ではなく、石油元売り会社へ補助金を支給することでガソリン価格を抑制することを試みている。

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