「経費を使いまくる課長」「接待しすぎの部長」 上司を“金銭感覚”で断罪しても全く意味がない理由【連載】上司ガチャという虚構(5)

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頻繁な高級会食やグリーン車移動の上司経費を目の当たりにしても、感情で判断せず、自分のキャリア収支と成果を数字で分析することで、財務感覚とコンプライアンス力を磨き、どの組織でも重宝される人材になれる。

投資と浪費の境界

 注意すべきなのは、上司の金銭感覚をすぐに

「浪費家だ」
「ケチだ」

と人格の問題に結びつけないことである。一度「浪費家」のレッテルを貼ると、その後の行動はすべて「やっぱりね」で片付けられ、建設的な対話や改善の工夫は止まってしまう。

 実際、金銭感覚は個人の性格だけで決まるわけではない。役割や見えている情報の違いも大きく影響する。上司は会社全体の利益や将来の投資計画を見ているが、現場のメンバーは目の前のコストや自分の給与に意識が向きやすい。この認識のズレが摩擦を生む原因になる。

 例えば、上司が支払った高めの会食費は、

「この顧客との関係を強化し、来期に数千万円規模の案件を獲得するための先行投資」

という筋書きの一部かもしれない。しかし部下から見えるのは、自分の月給の一部に相当する「今日の宴会代の請求書」だけである。会社の費用には

・固定費
・変動費
・広告費
・交際費
・投資
・経費

などさまざまな分類がある。長期的な売上につながる可能性があれば「投資」とみなせるが、そうでなければ単なる「浪費」である。現実には、どの会社にも本当に「浪費」に近い支出が存在するのも事実だ。

 お金の使い方をすべて否定するのも、すべてを正当化するのも、どちらも現実から目を背けていることになる。

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