自動運転バス「完全無人化」は幻想だった? 東京の複雑環境が暴く「誰も読めない」運行コストの真実

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自動運転バスの普及は、人員削減を可能にする一方で、安全・遠隔監視・乗客サービスなど多層的業務は依然として人が担う。全国9割以上の路線バス赤字を背景に、導入コストや専門人材の確保、ランニング支援の必要性が経営と政策の課題として浮かび上がる。

自動運転と人の残存価値

路線バス(画像:写真AC)
路線バス(画像:写真AC)

 本稿は運輸業務に携わる人には釈迦に説法だろう。しかし一般には、自動運転でドライバーが不要になり、誰もいらなくなると捉える市民も多い。この誤解の背景には、

・「完全無人化できる」という幻想
・「自動運転でコスト削減が簡単にできる」という幻想
・「AIだけで安全・安心が確保できる」という幻想

がある。本稿はそれらを整理し、現実とのギャップを示すためにまとめた。

運転という単機能は自動運転によって確かに減少する。しかし安全確保、トラブル対応、遠隔監視、システム保守、乗客サービスといった多層的な業務は、人間が担い続ける。AIがさまざまな微妙な判断を行うのは難しく、その重要性は今後も変わらない。

前回書いたドライバーの「最適な年収」議論も、自動運転時代に残る。全ての路線を一気に自動運転に置き換えることはできないからである。むしろ今後は、

・人の価値をどこで発揮させるか
・その価値にいくら支払うか

を構築する賃金モデルが重要になる。消費者も、この動きに注目していく必要があるのだ。

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