高市政権の決断――自賠責保険「5741億円返還」は本当に実現するのか? 30年放置の負債、保険料軽減どうなる

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自賠責保険特別会計から一般会計に流用された5741億円の一括返還が2025年度補正予算で検討される。約30年にわたり滞留した資金の返還は、交通事故被害者支援の充実と制度安定化、将来的な保険料抑制につながる可能性がある。

自賠責保険資金の一括返還

衆院本会議で所信表明演説をする高市早苗首相=10月24日午後、国会内(画像:時事)
衆院本会議で所信表明演説をする高市早苗首相=10月24日午後、国会内(画像:時事)

 自民党の小林鷹之政調会長は2025年11月19日、国会内で国民民主党の浜口誠政調会長と会談した。その結果、自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)の特別会計から一般会計に繰り入れられた運用益の一部、5741億円について、政府が一括返還を検討していることを明らかにした。

 問題の背景は約30年前にさかのぼる。1994(平成6)年度から1995年度にかけて、バブル崩壊後の財政難のなか、政府は赤字国債の発行を抑えるため、自賠責保険特別会計(当時の自動車損害賠償責任再保険特別会計)から一般会計へ合計約1兆1200億円を繰り入れた。

 自賠責保険の運用益は本来、

・交通事故で重い後遺症を負った被害者の支援
・自動車の安全対策

に使われるべき資金である。しかし財政悪化により、国はその一部を一般会計に流用していた。

 今回の検討は、過去に借入の形で流用された資金の残高5741億円を対象とするものだ。繰り入れた資金は1996年度から2003年度にかけて一部が返済されたが、その後も財政状況が厳しく、返済は中断していた。

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