国際物流に大きなダメージ 「上海ロックダウン」の長期化がもたらす深刻な影響とは
ロックダウンによる工場の操業停止
新型コロナウイルス感染拡大に伴う中国・上海市のロックダウン(都市封鎖)が始まってから1か月、長引く封鎖と経済活動の停滞が国際物流に大きな影響を与えている。
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コンテナ取扱量世界一を誇る上海港は通常通り稼働しているものの、封鎖管理の厳格化に伴ってトラックの輸送量が低下するだけでなく、工場の操業停止によって輸出貨物の積み込みも滞っている。日本も無関係ではなく、中国の工場で生産している製品や部品の入荷の遅延につながっている。
さらに中国国内の主要空港でも検疫を強化しており、日本郵便は2022年4月22日から中国(香港・マカオを除く)向け国際スピード郵便(EMS)の取り扱いを一時的に停止。小包についても航空、船便共に取り扱いを止めた。
独船社のハパックロイド(Hapag-Lloyd)は上海ロックダウンが国際的な海上物流に与えている影響について
「主にトラック輸送のキャパシティーと閉鎖された工場に起因している」
と指摘している。
実際、ロックダウンの最中でも上海港は操業を継続している。船舶も寄港しており、迂回する計画もない。一時は操業を止めていた中国船舶集団(CSSC)傘下の造船所も、工場が所在している長興島周辺で「ゼロコロナ」を達成したことで、船舶の建造・修繕作業を再開した。
しかし上海中心部では外出禁止を含めた厳しい封鎖が継続中で、多くの工場やオフィスの稼働が止まっている状態だ。地区をまたいで移動するトラック輸送に関しては規制が徹底しており、トラック運転手が道路へのアクセスを許可されるには、48時間のPCR検査結果、印刷された通行許可証、完全な行程表、そして荷物の配送先が必要となっている。省を越えて走行する際の所要時間は延び、トラックの稼働率は悪化。すべての船会社で1日の搬入量が減少した。
トラック輸送の停滞は、輸入貨物の受け入れ能力にも影響しており、コンテナターミナルのキャパシティー悪化へとつながっている。さらに上海では保管するコンテナの増加に伴って、リーファー(冷凍)コンテナにつなぐプラグが不足。冷凍貨物が船上に留め置かれるようになった。