「違法モペット」が減らない根本理由──制度・経済・技術の“三重の歪み”が生む構造問題とは
制度と技術の不整合

警察庁は、容易に改造可能な車両は公道不可としたが、自治体ごとの運用は統一されなかった。EC販売は無検証で進行し、2023~24年の法改正もキックボード中心であったため、ペダル付き車両は分類外の影響を受けた。
主要ECやフリマでは「免許不要」「アシスト扱い」といった誤認表示が残り、対面説明がないため、外国人や若年層が誤解したまま購入する事例が増えた。結果として事故や摘発につながっている。
海外仕様のコントローラはアプリで速度を変更でき、保安基準未達の状態に容易に移行可能だ。都内では9月までに11件の事故が報告され、保安部品未装着が目立つ。制度と技術が噛み合わない現状が、違法流通の温床となっている。
一般的な理解には三つの誤解がある。利用者責任論は制度の不備を見落とす。取締強化論は経済構造を無視する。規制過剰論は技術構造の理解が欠けており、制度の見直しと技術標準化が不可欠である。
制度改革では、ペダル付き電動車両に独立した分類基準を設け、解除可能な仕様を技術基準に明記する必要がある。性能等確認を義務化し、ECプラットフォームには販売前確認と違反出品への罰則を導入することが求められる。
販売者には説明責任と販売後責任を課す。登録完了までロックする方式を標準化し、自治体・警察・保険会社と連携してナンバー登録や保険加入をワンストップ化する。正規販売店の参入を促すため、部品供給の標準化も重要である。
コントローラは改造不能仕様で標準化し、アプリ制御のログで解除痕跡を検知する仕組みを導入する。速度や加速度、保安基準を自動判定する自己診断プロトコルの義務化も必要だ。
5年後には登録前ロックが国際標準となり、EUや中国でも同様の法整備が進む見込みだ。10年後には電動マイクロモビリティはID連動型移動体に収束し、無登録車両は起動できない構造が一般化する。正規販売・保守・保険が一体化した移動サービス産業が台頭し、認証・保安・保険を含む新たな市場が形成される。