「モペット」はなぜネットで蛇蝎のごとく嫌われるのか? 無免許・ノーヘル657件が暴く自転車風バイクの制度ギャップ
2025年1~8月、東京都内でモペットの違反件数は657件に達した。自転車風の外観で無免許運転が横行するこの小型EVは、制度の空白と市場の安価流通が招いた社会的リスクとして、都市交通政策の課題を浮き彫りにしている。
三者から敵視される存在

原付バイクは販売時に免許証の確認が義務化されている。しかしモペットは
・ECサイト
・フリマアプリ
で「自転車風」として販売され、確認をすり抜けてきた。2025年4月、メルカリがモペットの出品を全面禁止したのは、ガイドラインの遵守が事実上不可能だったためである。
販売者は免許確認を行わず、利用者も法を知らないまま走行する。この責任の空白が放置された結果、大阪では摘発件数が前年の
「約1.8倍」
に急増した。制度が技術革新に追いつかず、グレーゾーンを市場に残したまま流通させた行政と産業の不作為が根底にある。
ネットでの嫌悪感は、法違反への批判だけにとどまらない。歩行者から見れば、ペダルを漕いでいないのに歩道に侵入するモペットは
「自転車の皮を被った危険なバイク」
である。自転車利用者からは、同じ車線で走ってもルールを守らない不公平な存在と映る。原付バイク利用者からも、保険や税金、免許を負担しているのに、同じ道路をルール無視で走るのは
「不公平だ」
という反発がある。つまりモペットは、
・歩行者
・自転車
・原付バイク
の三者すべてから敵視される特異な存在である。法制度の中途半端さが、社会的孤立を決定づけている。