EV一辺倒は幻想? 「ハイブリッド需要」揺り戻しで浮き彫り、部品メーカーの辛らつ現実【連載】自動車部品業界ウォッチ(1)
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EVシフトで自動車産業の重心はガソリン車からEVへ移行し、2035年にはエンジン部品の売上半減が予想される。国内大手サプライヤーは事業再編を進め、電動化技術とHV応用技術の両立を模索している。
電動化技術への経営資源の集中

サプライヤーによる電動化技術へのシフトは世界的に進行しており、国内でも複数の企業が積極的な動きを見せている。
トヨタ系の大手サプライヤーであるデンソーは、2035年までにエンジン関連部品の売上を半減させ、その分を電動化や自動化技術に振り向ける計画を打ち出した。先ごろは、世界シェアの高かったプラグ事業を日本特殊陶業に売却し、燃料ポンプやフィルター事業も国内外で譲渡や売却を進めている。こうした動きは、事業構造を電動化中心に再編する取り組みの一環であり、今後さらに加速する見通しだ。
一方で、デンソーは電動アクスル(eアクスル)やインバーターといった電動車技術の開発にも注力している。プロテリアル(旧日立金属)も、長年培ってきた鋳物、セラミック、磁石、電線といった多様な技術をベースに、2025年9月にはエンジン関連事業を切り離す決断を下した。同社は100年以上の歴史を持つ自動車鋳物事業や排気ガス用セラミックフィルター事業を米国の投資会社に売却する一方で、モーター向けのレアアースゼロ磁石の開発も進めており、電動車普及にともなう資源課題への対応も視野に入れている。
電動化技術に経営資源を集中する取り組みはまだ数年にすぎないが、早期に着手することで他社に先行する優位性を確保しやすくなる。アイシン、ブリヂストン、三菱電機など、国内外の大手サプライヤーでも同様に、EVや電動車を優先する方針が次々と打ち出されている。各社は市場の変化、政策動向、競争環境を見据えながら、既存の技術資産を生かす方法を模索しつつ、新たな収益源を育てる戦略を進めている。