なぜトンネルは「水」に負けるのか? 工事はなぜ止まる? 新東名・中部縦貫・日本海東北道で露呈する地盤リスク
新東名高松トンネルや中部縦貫道大谷トンネル、朝日温海道路2号トンネルなど、長大トンネルの工事は湧水や軟弱地盤で停滞。開通延期や事業費増は総額約4100億円に達し、高速道路事業全体の効率と経済波及に影響している。
高松トンネルの工事難航

新東名高速道路(新東名)の未開通区間、神奈川県の新秦野インターチェンジ(IC)から静岡県の新御殿場ICまでの約25kmについて、開通予定が2027年度から少なくとも1年以上延期されることが、NEXCO中日本から発表された。
延期の主な理由は工事の難航である。特に神奈川県の松田町と山北町をまたぐ「高松トンネル」では、軟弱な地盤で土砂崩れが相次ぐ上、大量の地下水も確認され工事が滞っている。2025年11月時点で掘削は残り700mまで進んでいるが、ここから路面舗装や設備設置などを完了させるには1年以上かかる見込みだ。
日本の高速道路建設では、
「トンネルの湧水や地下水問題」
は長年の課題である。新東名に限らず、全国の建設中高速道路区間でも、水による工事遅延は発生している。トンネル工事では、水の制御が最大の課題といえる。
予期せぬ湧水や地下水は、建設コストや工期、安全性に直接影響する。結果として開通時期が遅れ、高速道路ネットワークによる効率向上や経済効果の発揮も遅れる事態となるのだ。