本当に“エンジン車”で大丈夫? トヨタ新型「ランクルFJ」が示す市場戦略の深謀とは

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トヨタが新型「ランドクルーザーFJ」を投入。2.7リッターガソリンと短ホイールベース化で耐久性と扱いやすさを両立し、電動車比率22%の世界市場で新興国中心の戦略展開を試すモデルとなる。

電動化偏重の揺り戻し

 国際エネルギー機関(IEA)によると、2024年の世界における電動車(電気自動車およびプラグインハイブリッド車)の新車販売台数は1750万台で、前年比25%の増加となった。前年の伸び率(35%増)には及ばなかったものの、新車全体に占める電動車の割合は22%に拡大している。

 地域別では、中国が1130万台で圧倒的な規模を誇り、前年比約40%増と市場をけん引している。欧州は318万台で前年とほぼ横ばい、米国は152万台で約10%増にとどまった。このように電動化は進む一方で、地域によって進展の速度や需要構造に大きな差があることも示されている。

 一方で、東南アジアや中東、アフリカ市場では、充電インフラの未整備や電力コスト、気候条件などから依然としてエンジン車が主流だ。ランクルシリーズの主要販売地域は新興国が中心であり、過酷な環境下では耐久性や整備性が優先される。FJの生産拠点であるタイ・バンボー工場の選定も、こうした市場の特性を反映した戦略といえる。

 トヨタは、中国や欧州で電動化を一辺倒で進める政策に対して、複数のパワートレインを維持する戦略を取ってきた。FJは、そうした戦略を具体的に示すモデルであり、世界各地の市場条件に応じて柔軟に対応するトヨタの姿勢を象徴する存在となる。

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