ホンダ・トヨタも直撃! 自動車業界「週1834件」のサイバー攻撃、高額投資の“超ハイテク工場”は本当に必要なのか

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2025年、アサヒGHDやジャガーランドローバー、日産・トヨタの関連企業がランサムウェア攻撃を受け、生産停止や情報流出の損失は最大250億円規模に。高度IT化が抱えるサイバーリスクが企業経営の新たな脅威となっている。

深刻化する企業サイバー攻撃

工場全体を覆うサイバー攻撃の脅威のイメージ。生成AIで作成。
工場全体を覆うサイバー攻撃の脅威のイメージ。生成AIで作成。

 2025年9月29日、アサヒグループホールディングス(GHD)はサイバー攻撃を受けた。国内グループ各社の受注・出荷業務と、お客様相談室などのコールセンター業務は停止した。10月3日付の第2報で、ランサムウェアによる攻撃であることと、情報漏洩の疑いがあることを公表した。あわせて手作業で受注業務を進め、順次出荷を開始すると発表した。

 ランサムウェア攻撃とは、企業のシステムをマルウェアで暗号化し、身代金を要求する手法である。身代金を支払わなければ、自力でシステムを復旧する必要がある。しかし復旧には時間を要し、その間はFAXや電話などで人海戦術を展開せざるを得ない。被害の全容や被害額は今後明らかになるが、一部報道では直接損失が最大約90億円との試算もある。

 自動車産業も例外ではない。日本ではあまり報じられなかったが、英国の自動車メーカー、ジャガーランドローバーは9月2日、サイバー攻撃により工場の生産を停止した。こちらもランサムウェアによる攻撃だった。システム復旧に時間を要し、工場は6週間にわたり稼働を停止した。10月8日になってようやく一部再開にこぎつけた。専門家の試算では、損失は最大で約1.4億ユーロ(約250億円)に上る。

 一度攻撃を受けると、直接的な営業損失に加え、情報漏洩にともなう損失や補償が発生する。さらに生産停止が長引くと、運転資金がショートし、新たな融資や国の支援が必要になる場合もある。もはやランサムウェアによるサイバー攻撃は、単なる経営リスクではなく、企業にとって現実の脅威といえる。

 サイバーセキュリティ企業のチェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズ(東京都港区)が2025年10月20日に発表したデータによると、2025年9月時点で、自動車業界は世界で

「週平均1834件」

のサイバー攻撃を受けており、これは全業界中9番目に多い数値である。前年同月比ではわずかに減少しているものの、依然として週に1800件を超える攻撃を受けている事実は、自動車産業が常に危険に晒されていることを示している。

 特に、エネルギー・ユーティリティ(+27%)、ソフトウェア(+26%)、農業(+57%)など、サプライチェーンの関連性の高い業界で攻撃が大幅に増加しており、自動車業界も間接的な被害を受けるリスクは高まる一方だ。

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