これって脱炭素詐欺? 「プラグインハイブリッド車」のCO2排出量、実際はエンジン車とほぼ同じだった
PHVのICE依存割合

PHVの走行実態を示す指標として「ユーティリティファクター(UF)」がある。
UFはPHVの全走行距離に占める充電電力による走行距離の割合を示す。この値は国や地域、集団、個人単位で測定でき、電気走行の割合が高いほどガソリン消費量は少なくなる。逆にUFが低い場合、PHVはICE車に近い使われ方をしていることになる。
公式推定では2021年から2023年のPHVの電力走行割合は84%とされていたが、実際のデータでは27%にとどまり、走行の73%が
「事実上ICE車」
であった。この乖離は、充電インフラの整備状況や利用者の生活習慣、走行距離の長短など、複数の要因に起因していると考えられる。都市部では充電環境が比較的整っているものの、郊外や地方では充電設備の不足がUF低下に直結している例も多い。
さらに、電力走行中であっても、電気モーターの出力が不足すると充電のために内燃エンジンが作動する。結果として、平均で1kmあたり68gの二酸化炭素を排出する。エンジンは電力走行距離の約3分の1で動力源として使用されるため、PHVの環境性能は実際の条件下では大幅に低下することになる。
大きく重い電気モーターとバッテリーを搭載するPHVは、エンジン走行時の燃費が悪化し、二酸化炭素排出量も増える。さらに多くのPHVは急速充電機能を持たず、定期的な充電の意欲も低下しやすい。充電には数時間かかる場合が多く、利便性は給油に劣る。平均的なPHVの燃料タンク容量は約51Lで、エンジン走行で約730kmの走行が可能であるため、結果として走行の大半はICE車と同様の使われ方になりがちである。
定期的な電力走行を促すには、燃料タンク容量の制限や急速充電機能の搭載が必要とされる。また、利用者にとっての利便性と環境性能のバランスをどう設計するかが、今後のPHV開発の課題となる。