「グリーン車なのにギャン泣き」 芸能人投稿が新幹線「赤ちゃん泣き声問題」に――プレミア車両で「静寂」は絶対か
ネットの意見とグリーン車の役割

ネットでは、赤ちゃんの泣き声についていろいろな意見が交わされている。
多くの人は赤ちゃんそのものを批判しているわけではなく、公共の場での親の対応に注目している。
「泣くのは仕方ないけど、デッキや授乳室に移動して周りに配慮すべきだ」
「泣かせっぱなしで何もしない親に不快感を覚える」
といった意見が多い。一方で、
「親が工夫して泣き止ませる努力をしている場合は、周りも我慢すべき」
という考えもある。長い移動では、周りの理解と施設の整備を両立させる必要があるという考えも広まっている。
制度や空間の面でも議論がある。
・デッキや授乳室の整備状況
・赤ちゃん連れ専用車両や座席表示の有無
・複数の子どもを連れての移動の難しさ
などが、不快に感じる背景になっている。グリーン車は静かに過ごすことを前提にした空間で、赤ちゃん連れは肩身が狭くなりやすい。制度の調整が十分でないことが、感情的な反応を強めている。
グリーン車は、かつての国鉄や現在のJR各社が提供する特別な座席区分だ。普通車より高い料金で、座席間隔や設備が広く、快適に作られている。車体や内ドアには四つ葉のクローバーマークがあり、1969年に導入された一等車の後身として位置づけられる。以前の等級制度に代わり、利用者はグリーン券を追加購入する方式になった。
新幹線や特急列車では、リクライニング機構や回転式クロスシート、フットレストなどを備え、乗客一人ひとりの空間を広く確保している。さらに、2階建て車両や個室グリーン席、デラックスグリーン、グランクラスなど、路線や車両によって設備の種類も増えてきた。国鉄時代の標準だった2+2列配置に加え、民営化後は観光や快適性向上を意識した2+1列配置も導入されている。
普通列車用グリーン車もあり、通勤で座席サービスを受けられるよう発展した。特急・急行用とは座席仕様や定員に差はあるが、快適さはある程度確保されている。首都圏のJR線では、Suicaでグリーン券を買えたり、グリーンアテンダントが乗務したりするなど、便利さの向上も行われている。
こうした歴史を通して、グリーン車は静かで快適に過ごすための社会的な空間としての役割を持つようになった。しかし赤ちゃん連れなどの場合、座席の快適さや静かさを保つ設計上の課題が目立つ。制度と空間の両方が、利用者の期待通りの共存を十分に想定していないことが、社会的なトラブルの背景になっている。