「赤字と逆風」に挑む日産「プロパイロット2.0」の衝撃――“疲れない運転”という新しい価値とは?【リレー連載】頑張っちゃえ NISSAN(4)

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年間6万kmを走る筆者の心理的負担を、日産のプロパイロット2.0が軽減。渋滞や複雑な高速環境でも安心を提供し、逆風下での技術革新と社会的価値を具体化する挑戦が始まっている。

ドア・トゥ・ドア走行支援

テスト走行が行われた新橋周辺(画像:都野塚也)
テスト走行が行われた新橋周辺(画像:都野塚也)

 日産はプロパイロット2.0をさらに進化させ、従来は高速道路限定だったハンズオフ機能を一般道にも拡大する次世代システムを開発している。都市部の複雑な交通でも心理的な安心感を提供し、ドライバーの負担を減らすことを目指す取り組みだ。これは技術の進歩ではなく、日常の移動にともなう不安や緊張を和らげる社会的価値をともなう革新である。

 次世代プロパイロットでは、出発地から目的地まで「ドア・トゥ・ドア」でハンズオフ走行が可能となる。2027年度には国内向け販売車への搭載が予定されている。東京・芝公園、新橋、銀座など市街地でのテストでは、片側三車線や路上駐車の多い一方通行、信号のない交差点など多様な交通状況でも、自転車や電動キックボードと共存しつつ安定した走行が確認された。都市部での安全性と運転支援の両立は、現実的課題に挑む日産の姿勢を示す成果である。

 技術面では、英国Wayve社の「Wayve AI Driver」と日産独自の「Ground Truth Perception(GTP)」が活用される。GTPはLiDAR、カメラ、レーダーの情報を統合し、周囲の空間や物体を高精度に把握する。変化する状況にもリアルタイムで対応でき、複雑な都市交通や予期せぬ状況でもドライバーの心理的負担を軽くする。

 次世代プロパイロットを試験搭載した日産「アリア」には、LiDARを5基、周囲360度を捉えるカメラを11基搭載している。AIが画像情報を分析し車両に伝えることで運転支援を実現する。高度な地図データが不要な点も、利便性と心理的安心感を高める要素となる。

 このシステムは、熟練ドライバーのように状況に応じた運転を支援する。運転に不安を抱える人や高齢者でも、心理的に安全で快適な運転が可能となる。若者の運転離れや高齢化社会の進行を背景に、都市生活や日常移動での安心感向上と運転体験の質の改善は、社会的に大きな意義を持つ。

 日産の次世代運転支援システムは、技術革新にとどまらず都市交通やドライバー心理に適応する社会的価値をともなう技術である。現実の課題に即した挑戦として、日本や世界の生活に必要不可欠な革新といえる。

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