日産e-POWERが「PHV市場の主役」を奪う? 赤字再建の日産、独自技術で世界電動化を塗り替えるのか【リレー連載】頑張っちゃえ NISSAN(3)
- キーワード :
- 自動車, 日産自動車, 頑張っちゃえ NISSAN
e-POWER活かすPHV戦略

日本経済新聞は2024年9月、日産がPHVを自社開発する方針であることを報じた。その後、日産がPHV開発を断念したという発表はなく、開発は粛々と進められているようだ。日経によると、日産は早ければ2020年代後半までにPHV技術を確立する見通しで、需要動向を見ながら準備を進めるとしている。
日産がPHVの自社開発を選んだ背景には、
「ハイブリッド技術「e-POWER」との親和性」
がある。既存技術を活かすことで、短期間での商品化が可能となる見通しだ。e-POWERはエンジンを発電専用とし、モーターのみで車両を走行させるのが特長である。バッテリーが減るとエンジンが自動で作動し発電するため、外部充電は不要だ。蓄電された電力でモーターが作動するため、EVに近い走行感覚が得られる。
一方、PHVもエンジンとモーターの組み合わせとなるが、バッテリーを外部充電できる点でe-POWERとは異なる。PHVには電動モードとハイブリッドモードの2種類の走行モードがある。電動モードではバッテリーのみで走行し、充電が減るとエンジンが自動で発動して蓄電する。ハイブリッドモードでは、エンジンで走行しながらバッテリーにも充電が可能だ。
PHVとe-POWERの共通点は、エンジンをバッテリー充電に使用していることだ。
「燃費効率はエンジン車より優れ、EVより航続距離が長い」
というメリットも共通している。
日産とアライアンス関係にある三菱自動車は、アウトランダーとエクリプスクロスの2車種にPHVをラインアップしている。日産は2025年から北米で販売する「新型ローグ」に三菱のPHVを搭載する。自社開発の目途が立つまで三菱から技術供与を受け、将来的に自社開発に一本化する計画だ。日産が自社開発を選んだのは、e-POWERをベースにした開発に勝機を見いだしたからである。
日産は長期ビジョン「日産アンビション2030」に基づき、電動化を推進している。2023年2月のアップデート版では、2030年までに27車種の電動車を投入する計画(うちEVは19車種)、世界の電動車モデル比率を55%以上にすること、欧州でのアライアンス強化などを掲げている。
日産のPHV自社開発が「日産アンビション2030」に与える影響は興味深い。PHV需要の急増にともない、電動化ロードマップの修正が行われる余地も残されている。