物流クライシスを救う「禁断の果実」 トラックの距離制“従量課金サービス”は中小運送会社の救世主か、それとも堕落を招くのか?
Truck as a Service(TaaS)とは、運送事業者が従量課金でトラックを利用できる新しいビジネスモデルを指す。この仕組みは、運送事業者とトラックメーカーの従来の力関係を大きく変える可能性を秘めている。
共同輸送の挑戦

日本社会が直面する物流クライシスに対し、政府は物流革新政策で対応しようとしている。しかし、物流ジャーナリストを自称する筆者(坂田良平)の耳には、少しずつだが失敗事例も届くようになった。特に
・中継輸送
・共同輸送
は難易度が高い。複数の荷主や運送事業者が協力する必要があるが、構想段階ではうまく調和しているように見えても、実際にプロジェクトが始まると些細なエゴが不協和音となり、大きな課題に発展することがある。
共同輸送や中継輸送を成功させるには、
「参加社の数」
が重要となる。5社より10社、10社より100社のほうが、成功する組み合わせを見つけられる可能性が高くなるのだ。
成功させる方法のひとつとして、わがままな荷主や運送事業者を強権的に従わせるリーダーやファシリテーターが必要だと考えられる。
利用運送も手掛けるTaaS事業者が増えれば、輸送効率の向上につながる可能性がある。TaaS事業者はより多くの貨物を遠くまで運ばせたほうが収益が上がるため、それは物流クライシス対策にもなる。
ただし運送事業者にとっては、経営努力をせずともTaaSを利用すれば経営が安定するという禁断の果実となる可能性がある。つまり、
「経営能力の低い運送事業者が増える弊害」
も懸念されるのだ。
欧米の動向を含め、日本国内でTaaSが導入され、拡大していくのか――。この動きは慎重に見極める必要がある。