物流クライシスを救う「禁断の果実」 トラックの距離制“従量課金サービス”は中小運送会社の救世主か、それとも堕落を招くのか?

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Truck as a Service(TaaS)とは、運送事業者が従量課金でトラックを利用できる新しいビジネスモデルを指す。この仕組みは、運送事業者とトラックメーカーの従来の力関係を大きく変える可能性を秘めている。

TaaSで変わる輸送市場

物流トラック(画像:写真AC)
物流トラック(画像:写真AC)

 購入やリース、レンタルといった従来のトラック保有形態に、新たな選択肢を提供するTaaSは、海外で既にビジネス展開が進んでいる。日本国内のトラックメーカーも、TaaSに関心を示し始めている。

 トラックメーカーがTaaSに注目する第一の理由は、EVや燃料電池車(FCV)、自動運転車両など

「新技術搭載トラックの普及促進」

である。近年、トラックの乗り出し価格は高騰しており、10年前と比べ1.5倍から2倍、場合によってはそれ以上に上昇している。

 新技術トラックはさらに高額化する見込みだ。例えば、高速道路限定で自動運転するレベル3大型トラックは8000万円から1億円超の価格になると予想される。日野自動車はトヨタと共同開発した国内初の量産FC大型トラック「日野プロフィアZ FCV」を発表したが、価格は約1億6000万円に達するという。

 これほど高額なトラックを、中小運送会社が購入したりリースすることはほぼ不可能である。そのため、メーカーが初期費用を負担し、TaaSという「使った分だけ支払う」サービスを提供することで、新技術トラックの普及を狙っている。

 もうひとつの理由は、

「トラックメーカー自身による利用運送事業への参入」

である。実際、前述のJUNAは自社顧客向けに利用運送事業を展開している。

 国内トラックメーカー4社の売上総計は約4兆9000億円(2021~2022年)だ。対して、国内トラック輸送産業の市場規模は約18兆円とされる。トラックメーカーにとって、

「既存市場の4倍規模」

の市場に参入できるチャンスは非常に魅力的である。

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