GRスープラが「市販終了後」も世界中のレースで増殖し続ける理由
なぜ生産終了が決まったクルマが、世界のサーキットで増え続けているのか? GRスープラは市販車としての役目を終えた後も新たな戦場で進化を続ける。単なる一台のスポーツカーではない、トヨタの思想を体現する“アイコン”へ。その名に込められた真の意味と戦略を明らかにする。
スープラが挑むNASCAR戦略の真意

トヨタが2019年に復活させたGRスープラを最初に公式レースへ投入したのは、米国のストックカーレース「NASCAR」だった。
このマシンはGRスープラの名を持つが、中身は市販車と切り離された純粋なレーシングカーである。NASCARではすべてのチームに統一シャシーと共通規格のボディ使用が義務づけられている。そのため、NASCAR仕様のスープラはフロントマスクやルーフラインに市販車の名残をわずかに残すだけで、全体の姿はまったく異なる。
それでもスープラの名を冠するのは、「Win on Sunday, Sell on Monday(日曜に勝ち、月曜に売る)」という米国独自の文化に根ざしている。形状が違っても、レースでの勝利がブランドのスポーツイメージを固め、市販車の販売につながるという考え方だ。NASCARでの存在感は、GRスープラの高性能なイメージを広げるうえで欠かせない役割を果たしている。