救急搬送が止まる可能性も? 世界で深刻化する「医療サイバー攻撃」 地域医療が直面する危機とは

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医療機関を狙うサイバー攻撃が急増するなか、国内外で電子カルテ停止や救急搬送制限の被害が相次ぐ。2023年度は救急出動約760万件を記録。IoT導入や医療MaaS拡大で利便性は向上するが、セキュリティ不備が地域医療全体の脆弱性を露呈している。

医療DXのサイバー脅威

移動診療車(画像:高山市)
移動診療車(画像:高山市)

 日本では高齢化や猛暑の影響で救急車の出動件数が急増している。2023年度は約760万件と過去最多を記録した。2040年にかけても同水準の出動件数が続くと見込まれている。こうした背景から、救急活動の効率化を目指し、IoT機器を活用した「マイナ救急」を2025年10月1日に開始することが決定した。

 さらに、移動診療車を活用して遠隔地からオンライン診察や診断を行う医療MaaSの普及も推進されている。これにより、交通空白地での利便性向上や医療の継続性確保が期待できる。

 しかし、これらの取り組みはネットワーク接続が必須であるため、サイバー攻撃のリスクは高い。攻撃が高度化するなかで、医療サービスや医療MaaSのセキュリティシステムも随時アップデートが求められる。医療従事者は、更新されるガイドラインを遵守するだけでなく、医療サービスを止めないために最新情報を実践する必要がある。

 IoTシステムには必ず脆弱性が存在する。医療DXの進展により、医療サービスのデジタル化が進む日本では、医療機関がサイバー攻撃の被害を受けやすくなる。地域の中核病院が機能停止に陥れば、救急外来の停止や救急車の受け入れ規制、住民の受診機会減少といった地域全体への悪影響が生じる可能性が高い。

 平時から被害を最小限に抑える体制を複合的に構築することが、地域医療の継続性と安全の確保につながる。

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