なぜ渋滞は「トンネル」で起きるのか? 年間約12兆円の経済損失を生む“見えない敵”の正体

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高速道路のトンネル渋滞は、年間約12兆円の経済損失を生み、車両混雑や事故リスクも増大する。大型車比率38%やEV・自動運転の増加が速度低下を招くなか、構造改善とITS活用など総合対策が急務となっている。

海外に学ぶ渋滞対策

 渋滞問題は日本だけでなく、諸外国でも深刻な課題になっている。海外ではどのように対策が進められ、成果を上げているのか見ていこう。

 ドイツやオーストリアでは、渋滞が激しい時期にトンネル制御や、地元住民優先のインター出口封鎖などが実施されている。ドイツでは基本的に車線数を3車線以上確保し、車線幅も広く設置しているため、混雑の影響を受けにくい構造になっている。

 EVの普及を見据え、米国のラスベガスではEV専用の地下交通システムの実験が続いている。スイスでは総距離500kmの地下トンネルを自動運転専用で走行させるプロジェクトも進行中だ。将来的には、日本の高速道路でもEVや自動運転専用レーンが設けられる可能性がある。

 日本でも、トンネル内の照明を明るくしたり、「ペースメーカーライト」と呼ばれる緑色の動く光を導入したりして、速度低下を防ぐ取り組みが進んでいる。これらの対策により、あるゴールデンウィーク期間中には渋滞が全体の5%減少し、平均速度が3.4km/h上昇したという成果が確認されている。

 ドイツのアウトバーンは基本的に通行料金が無料だが、大型車のみ走行距離に応じた料金が発生する仕組みだ。日本では全車種が有料の場合がほとんどだが、大型車の増加を踏まえ、時間帯や通行距離に応じた料金変動の導入も検討に値する。

 混雑度に応じた速度規制や、交通情報の高度活用も重要である。阪神高速では2021年4月に新交通管制システム「HI-TEX」を導入した。さらに2025年の大阪・関西万博に向け、NTTグループと共同で交通デジタルツイン「RASiN」の実験実証を開始した。RASiNは30日先までの交通状況を予測可能にし、利用者が高速道路をより快適に走行できるサービスの提供を目指している。

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