なぜ渋滞は「トンネル」で起きるのか? 年間約12兆円の経済損失を生む“見えない敵”の正体

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高速道路のトンネル渋滞は、年間約12兆円の経済損失を生み、車両混雑や事故リスクも増大する。大型車比率38%やEV・自動運転の増加が速度低下を招くなか、構造改善とITS活用など総合対策が急務となっている。

自動運転で変わる道路

今後普及する自動運転(画像:写真AC)
今後普及する自動運転(画像:写真AC)

 今後、高速道路のトンネル渋滞はどう変化していくだろうか。国土交通省のデータを見ると、2010年の走行台キロは8320億台キロ、2020年は8680億台キロ、2030年は8620億台キロと予測されている。

 日本の人口は年々減少しているため、全体の交通量も減少傾向にある。しかし、この数字はあくまで全国平均であり、都市部や主要路線では依然として交通量が増加する可能性が高い。

 トンネル渋滞対策は各地で進んでいる。東名の大和トンネルでは車線増設が行われ、中央道の新小仏トンネルも建設中だ。ペースメーカーライトの導入や、上り坂や速度回復を促す電光掲示板や看板の設置も進み、渋滞は徐々に減少する見込みである。

 もっとも効果が高い対策は、新規路線の開通である。中国道の宝塚トンネルでは、2018年3月に新名神が開通したことで利用者の選択肢が増え、あるお盆期間の上下線では交通量が約30%、渋滞は約60%減少した。ただし、予算や土地の制約から新設路線の建設は慎重にならざるをえない。重要なのは、何を優先し、将来に残すかである。

 自動運転車の普及も進む。2025年8月現在、クルーズコントロールやレーンキープアシスタントを搭載した車種が増え、2030年にはほぼ全車に標準搭載されると予測されている。2035年にはさらに高度な自動運転車も普及が見込まれる。

 同時に、EVの普及に対応した高速道路整備も求められる。構造改革、運行管理、車両技術の三者が協力することで、トンネル渋滞を含む高速道路全体の利便性向上が期待される。利用者も、どのように高速道路を利用し走行するかを常に意識する必要がある。

 高速道路の経済効果は計り知れない。今後は、経済面と安全面の両立が高速道路の重要な役割となることが期待される。

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