トラックの最高速度引き上げが「大気汚染」を招く? 米国研究が突きつけた、日本の不都合な真実
日本で2024年、高速道路の中大型トラック最高速度が80km/hから90km/hに引き上げられた。物流効率化の狙いがある一方、米国の研究は速度引き上げが都市部の大気汚染を悪化させる可能性を指摘する。
コロナ禍が示した走行速度と排出量の関係

排出量が急増した原因が運転速度にあるという確証は、コロナ禍による予期せぬ社会実験で得られた。
2020年、ロサンゼルスの交通渋滞が解消された際、ドライバーの平均速度は上昇した。これにともない「CO/CO2比」は急上昇し、長年の改善が帳消しになった。しかし、コロナ禍が落ち着いた2021年には渋滞が再発し速度は低下。結果として排出量は再び減少した。
「スピードを上げるとエンジンはより多くのエネルギーを消費し、一酸化炭素などの汚染物質を除去する効率が低下します。パンデミック中に私たちが目にしたのは、まさにそのことを実証したのです」(ホプキンス氏)
研究者は自動車排出ガス規制の厳守の重要性を強調。速度規制が規制効果を相殺している可能性の再検証を提言する。
「今回の調査は、カリフォルニア州の政策が実際に効果を上げていることを示しています。しかし新たな発見もありました。スピードは安全だけでなく、大気の質にとっても重要なのです」(同)
日本では2024年から高速道路で中大型トラックの最高速度が引き上げられた。環境への懸念はあるが、触媒性能の向上も期待される。
一方、走行速度を抑制する動きもある。日本では2026年9月、生活道路の法定速度が60km/hから30km/hに引き下げられる。これは交通安全のみならず、一酸化炭素と二酸化炭素の排出抑制にも寄与する施策である。