トラックの最高速度引き上げが「大気汚染」を招く? 米国研究が突きつけた、日本の不都合な真実
日本で2024年、高速道路の中大型トラック最高速度が80km/hから90km/hに引き上げられた。物流効率化の狙いがある一方、米国の研究は速度引き上げが都市部の大気汚染を悪化させる可能性を指摘する。
実走速度と排出ガス測定の限界

2013年から2019年のデータを分析したところ、ロサンゼルスでは自動車からの一酸化炭素排出量が減少した一方で、ソルトレイクシティでは減少が見られなかった。研究チームが原因を調査した結果、ソルトレイクシティで高速道路の制限速度が引き上げられたことが影響していると判明した。
同市では2014年12月、一部の州間高速道路の制限速度が時速65マイル(約100km)から70マイル(約110km)に引き上げられた。またユタ州の一部地方では、制限速度が時速80マイル(約130km)に設定されている。
研究を主導したカリフォルニア大学リバーサイド校の環境科学者フランチェスカ・ホプキンス氏は、
「ソルトレイクシティが制限速度を引き上げた結果、一酸化炭素の排出量が増加したのです。大気汚染の要因として、車両の速度にもっと注意を払う必要があります」
と指摘する。
さらに本研究は、車両排出ガスの測定方法の限界も示している。カリフォルニア州では多くの場合、管理された実験室内での試験に依存し、シミュレーション速度は時速70マイル(約112km)が上限だ。しかし、実際の走行ではエンジンが試験では予測不可能な条件に置かれることも多い。つまり、多くの車両が実際には実験室で再現できない速度で走っている可能性が高い。ホプキンス氏は
「道路を走る多くの車は、実験室では再現できない速度で走行しています。…中略…高速道路で実際に何が起きているかを測定することは、これらのモデルの重要な検証となります」
と述べている。