トヨタ「曲がり角」の現実──日本の新車販売286万台、ディーラーはなぜ「下請け化」したのか?
					日本の新車販売は1990年の598万台から2024年には286万台に半減。EVやコネクティッドカーの時代に、元ディーラー経営者・小栗成男氏が「メーカーとディーラーの原点回帰」を提言する。				
				
				自動車業界の再編局面

まず、著者の小栗成男氏について紹介する。小栗氏は元NTPグループの自動車ディーラー経営者(ネッツトヨタ名古屋)である。加えて、テノール歌手やビジネス書の著述家としても幅広く活躍している人物だ。小栗氏は、自身が長年所属した自動車業界を「ミッドライフ・クライシス」にあると警鐘を鳴らしている。では、具体的に何が問題なのか。
その前に、メーカーとディーラーの違いを確認しておきたい。自動車メーカーはトヨタ自動車など、クルマを製造する会社である。ディーラーはクルマを販売する店だ。両者は同じメーカーの看板を掲げるが、
「別会社」
であることが多い。コンビニの本体とFC契約オーナーの関係に似ている。中にはメーカー資本100%で設立された販売会社もあるが、トヨタ、日産、マツダ、ダイハツ、輸入車店などのディーラーは多くが独立資本の別会社である。
一方、スバルや三菱ふそう、UDトラックスのディーラーはほとんどがメーカー資本である。ホンダ、スズキ、三菱、いすゞ、日野のディーラーは、大規模になるほどメーカー資本、小規模は独立資本で運営される。サブディーラーと呼ばれる販売店も存在する。サブディーラーは会社名にメーカー名を冠さず、小規模の独立資本店であることが多い。