男性差別?それとも配慮? 「女性専用駐車場」が世界で増える根本理由――8割が駐車苦手の現実
都市部で女性ドライバーが増加する中、駐車行動に男女差が鮮明化。Agoora調査では女性の76.2%が駐車に苦手意識。安全性と利便性を重視した女性専用駐車場は、犯罪防止や経済活性化にも寄与する一方、公平性の課題も浮上している。
女性専用駐車場の価値

近年、都市部ではドライバーの駐車行動に男女差が見られ、その違いが注目されている。Agoora(東京都杉並区)が2023年2月に実施した「運転が苦手なドライバーに関する調査」によると、運転が苦手な場面として「駐車・車庫入れ」と回答した女性は76.2%で、男性の55.6%を大きく上回った。
この調査は、運転が苦手だと自覚する全国の男女1000人を対象に行われた。結果は、駐車に対する男女の意識差が明確であることを示している。さらに、女性は駐車場に対し、利便性だけでなく、防犯や停めやすさを重視する傾向が強いこともわかった。
こうした背景から注目されるのが
「女性専用駐車場」
である。安全性と利便性を総合的に考慮した設計が特徴だ。通常の駐車スペースが幅2.5m程度であるのに対し、女性専用駐車場では幅2.7m(8%増)以上を確保する施設もある。余裕のある設計により、車のドアを安全に開閉でき、乗降時の利便性も向上する。特に子どもを抱えた女性や妊婦にとって、大きなメリットとなる。
設置場所も考慮されている。女性専用駐車場は出入口付近の明るい場所に設けられ、
・荷物運搬の負担軽減
・防犯対策
も同時に実施されている。防犯カメラや照明設備の充実もその一例だ。
このように、女性特有の駐車ニーズと不安が、女性専用駐車場設置の必要性を高めている。本稿では、その重要性について解説する。