男性差別?それとも配慮? 「女性専用駐車場」が世界で増える根本理由――8割が駐車苦手の現実

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都市部で女性ドライバーが増加する中、駐車行動に男女差が鮮明化。Agoora調査では女性の76.2%が駐車に苦手意識。安全性と利便性を重視した女性専用駐車場は、犯罪防止や経済活性化にも寄与する一方、公平性の課題も浮上している。

増える女性ドライバー

ドイツの男性専用駐車場(画像:Chrweb)
ドイツの男性専用駐車場(画像:Chrweb)

 物議を醸す女性専用駐車場だが、今なお存在する理由には、女性ドライバーの増加も関係している可能性がある。

 警視庁の「運転免許保有者数及び運転免許試験の実施状況」」によると、2020年末の運転免許保有者数は前年より約17万人(0.2%)減少し、約8199万人となった。このうち男性は約18万人減少したが、女性は

「約1万人増加」

した。構成率は男性54.4%、女性45.6%である。

 男性の免許保有者が減少する一方、女性ドライバーは増加傾向にある。今の時代、「男性が運転して女性は助手席」という考え方は古い。実際、女性が自分で運転して買い物などに出かけるケースも少なくない。

 こうした状況で、女性専用駐車場は女性ドライバーにとって非常にありがたい存在である。安心して駐車できるスペースや、犯罪防止のための施設・企業の対策は、さらに女性ドライバーの増加につながるだろう。女性が車で移動しやすくなれば、経済の活性化も期待できる。

 とはいえ、女性専用駐車場という利用者限定に反対する声もある。今後は、ジェンダーレスを意識した名称や区分に変更し、利用者全体への配慮を進める必要がある。駐車場全体の使いやすさや安全対策を強化すれば、専用スペース自体を設けなくても済む可能性もある。駐車場が混雑しているとき、

「専用スペースが空いていてもったいない。停められたらいいのに」

と思った経験は多いはずだ。混雑時には一般開放や時間帯限定の専用区画とするなど、柔軟な対応で不満を減らすことができる。全員が納得できるルール作りが望まれる。

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