男性差別?それとも配慮? 「女性専用駐車場」が世界で増える根本理由――8割が駐車苦手の現実
都市部で女性ドライバーが増加する中、駐車行動に男女差が鮮明化。Agoora調査では女性の76.2%が駐車に苦手意識。安全性と利便性を重視した女性専用駐車場は、犯罪防止や経済活性化にも寄与する一方、公平性の課題も浮上している。
都市駐車場の安全設計

日本における女性専用駐車場は、1980年代から
「百貨店の立体駐車場」
を中心に導入が始まった。背景には、女性の社会進出や消費活動の拡大がある。運転に不慣れな女性や妊婦を含む幅広い層の利便性向上を目的としている。
専用スペースは幅広で、安全性と使いやすさを両立させた顧客サービスとして定着した。特に都心部や地方の大型商業施設では、ピンク色の区画線で区切られ、不安軽減に寄与している。夜間の防犯対策として、明るく人通りの多い場所に設置する例も増え、利用者の安心確保に貢献している。
一方、海外ではドイツが先進的な取り組みを行っている。1990年代から各州が女性専用駐車場の設置を規制し、駐車場の
「10%~30%」
を女性専用に割り当てることを法律で義務付けた。防犯カメラなどの安全対策も法律で定められている。これは、ドイツの犯罪発生率が日本の約12倍と高く、女性が駐車場で犯罪被害に遭うリスクを軽減する必要があるためだ。
こうした日本とドイツの取り組みは、女性の社会的役割の変化や安全・利便性への多様なニーズに応えるものである。今後もさらなる発展が期待される。