コンビニに「急速充電器」が増える根本理由――ファミマも約700店舗導入、“買い物ついで”充電は定着するか

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2025年に全国2万5000拠点を超えたEV充電スタンドと1万2000口の急速充電器。コンビニ設置の拡大は、政府補助と民間投資を背景に、地域格差是正と市場拡大を同時に進める戦略的施策である。

高出力充電器投資論

コンビニエンスストアの駐車場イメージ(画像:写真AC)
コンビニエンスストアの駐車場イメージ(画像:写真AC)

 今後、急速充電器の設置は、日本のEV市場を広げる重要な戦略の一部である。コンビニなど日常的に使う場所に設置することで、充電器の存在が目に見える形になり、EVを使うときの不安を減らす効果がある。都市部と地方部で充電器の数が均等になることは、地域ごとのEV普及の差を減らす役割も果たす。

 政府の補助金制度と民間企業の投資意欲が組み合わさることで、充電事業の自立した発展も期待できる。補助金は初期費用を軽くし、導入リスクを減らすだけでなく、企業に新たな収益の機会も生む。コンビニでは、充電の間に買い物をしてもらえるため、充電器の設置は単なるコストではなく、集客戦略の一部になる場合もある。

 投資回収の面では、高出力の急速充電器は、利用回数と設置費用のバランスが重要だ。地方の小規模店舗では、補助金で初期費用を抑えても、利用が少なければ回収には時間がかかる。一方、都市部や幹線沿いの店舗では、EVの普及率や通行量が多いため、3~5年で投資を回収できる場合もある。

 地域ごとの設置戦略では、都市部の高密度型と地方部の補完型という二層構造が望ましい。都市部ではEVユーザーの利便性を最大化する。地方部では、長距離移動の途中で充電できるネットワークとして機能させる。この二層構造により、全国規模でEV普及を支える充電網が整う。

 EV普及計画との連動も重要である。経済産業省が掲げる2035年の100%電動車シナリオでは、都市部と地方部の充電器設置バランスや、住宅や商業施設のインフラ整備の速さが、普及のペースを左右する。急速充電器の設置は、消費者の購入意欲や利用習慣に直接影響する。そのため、コンビニなどへの戦略的設置は、EV市場全体の成長計画を実現するために欠かせない施策である。

 こうしたことから、コンビニ業界における急速充電器の設置拡大は、利便性向上にとどまらず、政策・市場・企業戦略・消費者行動が交わる、産業構造の変化を象徴する事例といえる。

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