「大声で騒ぐ」「ごみ捨て守らない」 急増インバウンドで苦情400件! 特区「民泊」が突きつける住環境悪化の現実
大阪市が国家戦略特区制度に基づく特区民泊施設の急増に市民の不安が高まっているのを受け、規制策の検討に入った。9月までに対策を具体化する方針だ。
全国の特区民泊の9割が大阪市に集中

2024年度に受け付けた特区民泊施設に対する苦情は399件。2021年度と比べると4倍以上に急増した。しかも、苦情の約6割が特区民泊施設は営業できるが、一定規模以上の店舗は立地が認められない住居地域からだった。
大阪市は特区民泊を2016年に導入した。住宅用居室での宿泊サービスを旅館業法の特例として認める制度で、民泊新法(住宅宿泊事業法)で認められた民泊施設に課せられる年間180日までの営業日数制限がなく、採算性が高い。
大阪市のほか、東京都大田区、千葉市、新潟市、北九州市、大阪府、大阪府八尾市、大阪府寝屋川市が導入しているが、大阪市内の特区民泊認定施設は3月末現在6038施設で、居室数1万6616室。コロナ禍の終息後、訪日客が戻ってきたのにともない、急激に認定施設が増え、全国の特区民泊施設の約9割が集中している。
訪日客が殺到するミナミの繁華街に近い中央区、浪速区、マンションの家賃相場が低く、交通の便が良い西成区で増加が目立っている。さらに、施設を運営する中国人が在留資格の経営・管理ビザを取得して移住する例や、国内不動産業者の特区民泊施設開発も相次いでいる。