「大声で騒ぐ」「ごみ捨て守らない」 急増インバウンドで苦情400件! 特区「民泊」が突きつける住環境悪化の現実
吉村知事が新規受け付け停止を提言

大阪市が特区民泊を導入したのは、訪日客の急増で宿泊施設不足が深刻になったからだ。導入前の2015(平成27)年に約85%だった大阪市内のホテル、旅館客室稼働率は、民泊施設の増加もあって2024年に約75%に緩和されている。
だが、2024年に大阪府を訪れた訪日客数は大阪観光局の推計で約1464万人に上り、過去最高を更新した。2025年は大阪・関西万博開催もあり、上半期(1~6月)に過去最高の約848万人が押し寄せている。南海電鉄の空港特急が難波駅に着くたびに大勢の訪日客が吐き出され、大阪市中央区の戎橋などミナミの名所は連日、訪日客で足の踏み場もない。
訪日客ラッシュに目をつけた不動産業界では、マンション全体を民泊施設とする動きが加速してきた。万博会場の夢洲やテーマパークのユニバーサルスタジオジャパンに近い此花区では、賃貸マンションとして建設された14階建て、全212室の施設が完成直前に天然温泉付き特区民泊施設に変わり、近隣住民の反対を押し切って6月末に開業した。
住民らは大阪市に認定しないよう求めたが、大阪市は地域との調和や住民の安全を求める要請書を事業者に交付して施設を認定した。施設近くのマンション住民は
「訪日客が多数やってくるようになった。静かな暮らしが妨げられている」
と反発を隠さない。
港区では、一部の部屋を特区民泊施設としていた賃貸マンションが全室特区民泊施設にするとして、入居中の住民に退去を求める騒ぎが発生している。インバウンドマネーに群がる業者の動きが、市民の暮らしを圧迫している格好だ。2施設2室の特区民泊施設が営業する寝屋川市は8月上旬、市民の間に懸念の声があるとして特区民泊からの離脱を決めた。
吉村洋文大阪府知事は7月末の記者会見で大阪府市がそれぞれ実施する特区民泊について
「新規の認定受け付けをいったん停止すべきだ」
との考えを明らかにした。大阪市のプロジェクトチームでも議論されているが、これだけ問題が噴出する以上、市民の生活エリアとにぎわい創出エリアを分け、特区民泊施設を立地制限するなど制度の見直しが必要だ。