吉祥寺なのに「吉祥寺」という寺が存在しない理由──江戸最大の火災が生んだ“地名トリック”の正体

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吉祥寺は2025年の「SUUMO住みたい街ランキング」首都圏版で3位に入る人気エリアだ。新宿や渋谷へのアクセスに優れ、緑豊かな井の頭恩賜公園や個性的な商業施設が共存し、幅広い世代に支持されている。歴史的には関東大震災後の急成長と、1960年代の再開発が都市基盤を強化。さらに、古くは文京区本駒込の吉祥寺寺院との繋がりも地域の文化的深みを支える。多様な魅力が都市としての価値を高めている。

回遊性で輝く都市拠点

吉祥寺(画像:写真AC)
吉祥寺(画像:写真AC)

 吉祥寺は、東京都武蔵野市の東部に位置するエリアである。吉祥寺駅を中心に発展してきた。もとは農村地帯であったが、1923(大正12)年の関東大震災をきっかけに、東京市内から多くの人々が移り住んだ。その結果、住宅地として急速に成長した。

 昭和期に入ると、商業施設や学園の建設が進んだ。こうして吉祥寺は、郊外型の住宅都市としての性格を強めていった。

 1960年代には、旧国鉄中央線の高架化と複々線化に合わせて、都市計画が本格的に始まった。吉祥寺駅を中心とする再開発である。この計画は、東京大学の研究室が手がけた案を基に進められた。東西南北の軸に沿って大型商業施設が配置されたことで、駅周辺の利便性は大きく向上した。

 この再開発により、街は回遊性を持つ商業拠点として整備された。

・サンロード
・ハモニカ横丁

など、個性ある商店街とともに、にぎわいをつくり出した。

 駅周辺には高級住宅街も広がっている。住みやすさと買い物の便利さを兼ね備えた街として、評価が定着している。さらに、井の頭恩賜公園や三鷹の森ジブリ美術館など、文化や自然に触れられる施設も近くにある。そのため、住民だけでなく観光客にも人気の高い場所となっている。

 こうした経緯を経て、吉祥寺は東京郊外を代表する街のひとつへと成長した。

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