なぜバスドライバーは「憧れの仕事」から消えたのか? 4000億円赤字が示す“消滅危機”の深層

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減便や路線廃止によって、バスドライバーの不足がついに「顕在化」した。自治体や教習所、求人ポータルサイトも巻き込んだ採用キャンペーンが各地で展開されているが、それだけでは問題の解決には至らない。

採用と定着支援の実態

教習所や求人ポータルサイトもバスドライバー募集を「共闘」(リッツMC)
教習所や求人ポータルサイトもバスドライバー募集を「共闘」(リッツMC)

 バスドライバーの不足は、公営・民営を問わず、全国の自治体にとって深刻な課題となっている。多くの自治体が、ドライバー確保に向けた独自の対策に乗り出している。

 東京都練馬区は、公式ウェブサイトに「バス運転士不足」と題する特設ページを設けた。ドライバー不足の実情や、デマンドタクシーの実証実験の概要を掲載している。あわせて、東京都交通局を含む五つの事業者の採用ページにも直接リンクを張っている。

 横浜市都市整備局は2024年9月、神奈川県バス協会と共催で採用イベントを開催した。目的は、公共交通の利用促進とドライバー不足の解消である。横浜市交通局を含む八つの事業者が参加し、講演、座談会、会社説明会などを行った。

 一部の自治体では、採用されたドライバーに対して直接的な経済支援も行っている。佐賀市交通局は2025年2月から「就職支援金制度」を導入した。新たに市営バスのドライバーとして採用された人に支給する。特に県外からの転入者には、

・単身者:30万円
・世帯者:50万円

の支援金を支給している。新潟市では、佐賀市と同様の支援金制度に加え、住宅補助も用意されている。家賃の4分の3(上限3万9000円)を最長5年間補助する。

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