なぜバスドライバーは「憧れの仕事」から消えたのか? 4000億円赤字が示す“消滅危機”の深層

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減便や路線廃止によって、バスドライバーの不足がついに「顕在化」した。自治体や教習所、求人ポータルサイトも巻き込んだ採用キャンペーンが各地で展開されているが、それだけでは問題の解決には至らない。

ドライバー獲得へ広がる共闘

バス運転体験&事業所見学ツアーを開催(写真:国際興業)
バス運転体験&事業所見学ツアーを開催(写真:国際興業)

 もちろん、バス事業者は手をこまねいているわけではない。各社とも、ドライバー不足の解消に向けて採用活動を強化している。大手の国際興業(東京都中央区)は、2024年11月9日に「バス運転体験&事業所見学ツアー」を開催した。4回目の開催となる。

 会場は自社営業所。会社概要や募集要項の説明に加え、

・路線バスの運転体験
・車載機器の操作
・施設内の見学

なども実施した。過去3回の開催では、いずれも定員を上回る応募があり、実際の採用にもつながっているという。

 こうした体験イベントは、国際興業のような単独開催だけにとどまらない。各地のバス協会が主催する形式や、複数社による合同開催の取り組みも広がっている。一風変わった事例としては、名鉄グループの取り組みがある。傘下のバス会社の採用強化の一環として、ラッピング車両を運行した。車内に設置されている「とまります」ボタンをもじり、「こまります」というキャッチコピーを掲出。ユニークな訴求で話題を集めた。

 採用の前段階として重要な「養成」の現場も動いている。自動車教習所や求人ポータルサイトとの連携も加速している。朝日自動車(埼玉県越谷市)は2025年5月26日、羽生モータースクール(埼玉県羽生市)で採用イベントを実施した。普通免許だけでバスの運転を体験できる内容だった。

 バス運転手専門の求人サイト「どらなび」を運営するリッツMC(東京都)も、教習所と協力してイベントを展開している。就職説明会や運転体験会などを各地で開催してきた。2025年7月26日には、山口県主催の合同説明会が開催された。会場は県内の自動車教習所で、9つのバス事業者が参加した。

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