ダイハツの新サブスク「ツキノリ」は本当に成功する? 月額2.5万で1000km制限――若者のクルマ離れ防げるか
若年層の車離れ、上昇する維持費──クルマを取り巻く構造変化の中、月額2.5万円から利用できる認定中古車のサブスク「ツキノリ」が本格始動。ダイハツ独自の供給網を武器に、リースでもカーシェアでもない“第三の選択肢”として、日本のモビリティ市場に一石を投じる。
制度壁を超える挑戦

今後のツキノリの成否を左右する要素として、認定中古車の
・品質確保
・回転率
の適切な管理が挙げられる。加えて、利用者の属性に応じた柔軟な料金設計や、事故対応・保険補償内容の透明化も不可欠だ。ユーザーが使いやすいスマホアプリによる申し込みや管理のユーザーインターフェース(UI)向上も求められる。さらに、再利用や乗り換え時のインセンティブ設計など、顧客満足度を高める施策も重要となる。
全国27拠点を結ぶ供給網の整備は、ダイハツが持つ独自の地場ネットワークを最大限に活かすことで、他社との差別化要因となるだろう。
海外でも類似の中古車サブスクリプションサービスが展開されているが、車両供給体制や保険制度、金融との連携に関して多くの課題に直面している。日本においても税制や車検、保険などの制度は依然として車の所有者を前提としている。そのため、こうした制度構造が抜本的に変わらない限り、本格的な普及には制約が残る。
一方で、地方の過疎地や公共交通が未整備の空白地帯では、月単位利用の仕組みが
「交通弱者の移動手段確保に寄与する可能性」
を秘めている。ツキノリが地方自治体と連携し、高齢者や免許返納世代に向けた新たな交通インフラとして機能し始めれば、車の社会的役割は再定義されるだろう。