ダイハツの新サブスク「ツキノリ」は本当に成功する? 月額2.5万で1000km制限――若者のクルマ離れ防げるか

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若年層の車離れ、上昇する維持費──クルマを取り巻く構造変化の中、月額2.5万円から利用できる認定中古車のサブスク「ツキノリ」が本格始動。ダイハツ独自の供給網を武器に、リースでもカーシェアでもない“第三の選択肢”として、日本のモビリティ市場に一石を投じる。

カーシェアとの価格競争力

KINTO ONEサービス(画像:KINTO)
KINTO ONEサービス(画像:KINTO)

 まず、カーシェアサービスとの比較からツキノリの特徴を検証する。カーシェアは都市部を中心にサービスが充実している。時間単位で利用でき、機動性が高い点が強みだ。ただし、料金はやや高めに設定されている。

 例えば、タイムズカーのコンパクトカークラスを9日間利用し、1000kmを走行した場合の料金は約6万2900円に上る。これは時間料金と距離料金を合算したもので、ガソリン代込みだ。一方、ツキノリの場合は月額2万5000円に加え、駐車場代が約3万円、ガソリン代が約5000円で合計約6万円となる。ツキノリは1か月間利用でき、カーシェアよりもコストパフォーマンスに優れている。

 また、ツキノリの車両はサービス開始間もないこともあり、約90台のうち70台は走行距離1万km未満で、2023年式以降の新しい車が多い。走行距離数kmの新古車も含まれ、カーシェアのように使い古された車両は少ない。一方で、短時間の移動や都市部での一時利用にはカーシェアが依然として有利だ。だが1か月以上の長期利用で、マイカーのように使いたい地方のユーザーにはツキノリが適している。

 次に、個人向けマイカーリースとツキノリを比較する。リースは通常3~7年の長期契約であり、解約が難しいというハードルがある。対してツキノリは利用期間に柔軟性があり、更新や終了の手続きも簡便だ。ただしリースは税制優遇措置や割賦支払いによる資産計上が可能なため、金銭面ではツキノリに劣る側面もある。

 さらに、トヨタのサブスクリプションサービス「KINTO」とも比較したい。KINTOは新車が中心だが中古車も提供している。新車の利用料金は月額4万~5万円台、中古車は3万円台から。ツキノリ同様、税金・保険・メンテナンス費用はすべて込みだが、申込金として約20万円が別途必要だ。

 KINTOは法人向けにもサービスを展開しているのがツキノリとの違いだ。トヨタ車のブランド価値や所有感を前面に押し出すのに対し、ツキノリは実用性とコストパフォーマンスで勝負している。同じトヨタグループ傘下でありながら、利用対象を巧みにずらして差別化を図っている。

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