「エンジン音 = 時代遅れ」は間違い? ステランティスが6000時間かけた「音作り」の最前線

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EV時代にあっても、6000時間かけて設計された擬似排気音や調査で浮かび上がった“音を愛する若者たち”。エンジン音は今やノイズではなく、自己表現とブランド体験の鍵となる「感性のインフラ」へと進化している。

EV時代に残る排気音文化

スポーツカー所有者の約70%がマフラーなどをカスタマイズ(画像:写真AC)
スポーツカー所有者の約70%がマフラーなどをカスタマイズ(画像:写真AC)

 前述のナイルは2021年、全国の男女2012人を対象に「騒音規制に関する意識調査」を実施した。その結果、日常生活で車の音を「うるさい」と感じる人は40.1%だった。一方で、「車の音は必要」と答えた人は83.1%にのぼった。

 また、スポーツカーの所有者の約7割が、マフラーなどを改造して音を大きくしている実態も明らかになった。騒音規制の強化については、8割近くが「寂しい」と感じているという。その理由として最も多かったのが「音が好きだから」で、全体の60.8%を占めた。

 この調査結果は、特定の年齢層に偏ったものではない。エンジン音といった感性的価値に魅力を感じる人が、幅広い層に一定数存在していることを示している。若年層もその例外ではない。

 一見すると一部の“クルマ好き”の声に見えるかもしれないが、実際には自動車業界の中でも音へのこだわりが強まっている。電気自動車(EV)時代を見据えた上で、音がもたらす体験価値に再注目する動きが加速しているのだ。

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