世界4位へ躍進 今治造船×JMU統合で挑む「日本造船」復権──高付加価値と脱炭素で中韓を逆転できるか?

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中国・韓国に押されてきた日本造船業が、今治造船によるJMU子会社化で再起を図る。年間建造量は500万総トン超、国内シェアは5割に達し、世界4位の規模へ。高品質・高効率を武器に、再びグローバル競争の舞台に挑む――再編の先に問われるのは、持続可能な成長モデルの実現だ。

造船業の再編と規制

中国船舶工業集団のウェブサイト(画像:中国船舶工業集団)
中国船舶工業集団のウェブサイト(画像:中国船舶工業集団)

 今治造船関係者は、

「今までは助走期間だった。子会社化で本当の一枚岩になる」

と語っている(『日本経済新聞』2025年6月27日付け)。NSYとしての共同活動を経て、今後はシナジー効果をさらに高めることが期待される。

・生産効率の向上
・技術力の強化
・調達コストの削減
・マーケティング統合

などがこれまで以上に進む見込みだ。また、NSYの共同出資とは異なり、子会社化により意思決定が迅速化され、スピード感を持った市場展開が可能になる。

 造船業界では今回の今治造船によるJMU子会社化のように、過去にも多くの再編や統合が繰り返されてきた。近年では、中国の中国船舶工業集団(CSSC)が吸収合併を重ね、中国最大手として業界を牽引している。一方で、失敗に終わった買収事例も存在する。代表例が

「韓国・大宇造船の買収計画」

だ。2019年に現代重工業グループは大宇造船買収を試みたが、欧州委員会が欧州連合(EU)の合併規則に基づき、LNG運搬船市場での競争低下を懸念して拒否した。このため計画は2022年に白紙撤回されている。

 この事例は、造船業における大規模統合が法規制上の複雑な問題をともなうことを示している。本件でも日本国内の競争力低下の懸念が指摘されており、今後の動向には業界全体の注目が集まっている。

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