世界4位へ躍進 今治造船×JMU統合で挑む「日本造船」復権──高付加価値と脱炭素で中韓を逆転できるか?
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中国・韓国に押されてきた日本造船業が、今治造船によるJMU子会社化で再起を図る。年間建造量は500万総トン超、国内シェアは5割に達し、世界4位の規模へ。高品質・高効率を武器に、再びグローバル競争の舞台に挑む――再編の先に問われるのは、持続可能な成長モデルの実現だ。
今治造船とJMUの統合戦略

今治造船は愛媛県今治市に本社を置く、日本最大の造船会社である。1901(明治34)年の創業以来、3000隻以上の船舶を建造してきた老舗企業だ。ばら積み船、コンテナ船、タンカーなど多様な船種の建造に強みを持つ。
今治造船グループは国内に複数の工場や造船所を有し、設計から建造、修繕まで一貫したサービスを提供可能だ。高い品質と技術力は国内外の海運会社から高く評価されている。
一方、ジャパンマリンユナイテッド(JMU)は、ユニバーサル造船とアイ・エイチ・アイ マリンユナイテッドの統合により2013(平成25)年に誕生した造船会社だ。両社は日本の重工業を牽引してきたユニバーサル造船(旧日本鋼管造船部門)と石川島播磨重工業(現IHI)造船部門にルーツを持ち、長年にわたる技術蓄積がある。ばら積み貨物船やタンカーに加え、
・液化天然ガス(LNG)船やLPG船といった高付加価値のガス運搬船
・護衛艦などの特殊船
の建造に強みを持つ。国内第2位の規模を誇り、今治造船とともに日本の造船業を支える柱だった。
今治造船とJMUは長らく国内二大造船メーカーとして競争を続けてきた。同時に日本の造船業を支える両輪でもあった。しかし、両社は国際競争力を高めるため、2021年に合弁会社「日本シップヤード」(NSY)を共同出資で設立した。同社はLNG運搬船を除く商船の開発、基本設計、販売を共同で手がける体制を整えている。これにより、日本造船業の競争力強化と効率化が進むことが期待される。