コンパクトカーなのに「全然コンパクトじゃない問題」 定義が崩壊? 3ナンバー車も名乗る現状を考える
- キーワード :
- 自動車
「コンパクトカー=小さい」はもはや通用しない。全長4.3メートル超の“3ナンバー・コンパクト”が市場を席巻する中、ヤリス16万台超など販売上位は依然「コンパクト」勢。便利さとブランド戦略の間で揺れる言葉の実態に迫る。
売れるコンパクトの功罪
それでもメーカーがコンパクトという言葉を手放さない理由は単純である。売れるからだ。
2024年の乗用車ブランド通称名別ランキング(日本自動車販売協会連合会)によると、トップは「カローラ」だが、「ヤリス」「シエンタ」「ノート」といったコンパクトカーに位置づけられるブランドが上位を占める。ヤリスは約16万台、シエンタは約11万台、ノートは約10万台を売り上げており、市場での高いニーズと人気を示している。
消費者にとって、コンパクトカーは
・価格が抑えられ
・燃費がよく
・維持費も安い
というイメージが長年定着している。実際には300万円近いグレードも存在するが、コンパクトと名乗ることで心理的ハードルを下げる効果があるのも事実である。
背景には、グローバル市場とのセグメント分類の違いも存在する。欧州では、キックスやヴェゼルに相当するサイズは一般的にBセグメントやCセグメントに分類される。一方で日本市場は従来の5ナンバー枠を基準に
「小型車 = コンパクトカー」
という文化が長らく続いてきた。規格と認識が乖離したまま、言葉だけが生き残っている状況といえる。
このように記号としてのコンパクトを温存することは、結果的にユーザーとのズレを生み出している。