N-BOX独走に異変? ダイハツ「新型ムーヴ」3万台受注の衝撃──軽市場を揺るがす「地方のリアル需要」の正体
11年ぶりに刷新されたダイハツ「ムーヴ」が、発売1か月で月販目標の5倍・約3万台を受注。ホンダN-BOXの独走に変化の兆しが見え始めた。商品設計から流通戦略まで、構造変化の波は軽自動車市場全体に広がっている。
過剰ラインナップの課題

ムーヴの急激な販売拡大により、ダイハツ「タント」の注文減少リスクが顕在化している。タントは2025年上半期の販売ランキングで5位に入ったが、前年同月比で5.9%減と販売の勢いは鈍化している。特にスライドドア装備という両モデルの共通点が差別化を曖昧にし、タントの存在意義が薄れる可能性がある。
現在、ダイハツの軽モデルは9車種を展開しており、ラインナップは過剰気味で構造的な問題を抱えている。ムーヴのように特定モデルに需要が集中すると、内部競合が表面化する。これにともない、今後のラインナップ整理・統合は急務となる。
軽自動車のラインナップ最適化には、
・既存モデルの市場ポジショニングの再定義
・各モデルのブランディング再構築
が欠かせない。限られた経営資源の非効率化を避けるためにも、経済合理性を重視したラインアップの維持が求められている。