N-BOX独走に異変? ダイハツ「新型ムーヴ」3万台受注の衝撃──軽市場を揺るがす「地方のリアル需要」の正体

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11年ぶりに刷新されたダイハツ「ムーヴ」が、発売1か月で月販目標の5倍・約3万台を受注。ホンダN-BOXの独走に変化の兆しが見え始めた。商品設計から流通戦略まで、構造変化の波は軽自動車市場全体に広がっている。

地方で鮮明化する販売逆転

ダイハツ・新型ムーヴ(画像:ダイハツ工業)
ダイハツ・新型ムーヴ(画像:ダイハツ工業)

 2025年6月の都道府県別新車販売で、ダイハツは宮城、新潟、愛知、沖縄など地方都市を含む複数の地域でホンダを上回った。これらの地域は都市圏とは異なる需要構造を示している。地方では軽自動車の需要が底堅いものの、生活の足としての利便性とコストパフォーマンスの両立が厳しく求められる市場だ。

 新型ムーヴの強みである

「スライドドア + 低価格 + 実用性重視」

の戦略が、地方のニーズに的確にマッチしている。このため、従来N-BOXが担ってきた市場の一部を吸収し、奪回する可能性を秘めている。

 新型ムーヴはスライドドアの採用に加え、ダイハツ独自のプラットフォーム「DNGA」により、車体剛性や燃費性能の最適化を実現したモデルだ。価格面では、最廉価グレード「L」が130万円台、最上位グレード「RS」でも190万円前後と設定されている。都市部よりも価格に敏感な地方ユーザーの潜在需要を的確に捉えた価格政策といえる。

 一方、N-BOXは高価格帯化が進み、最廉価グレードでも車両価格は170万円台に達している。装備の過剰による価格上昇という構造的なズレが、消費者との距離を広げる懸念材料となっている。

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